礼拝
友納靖史
常盤台バプテスト教会 2025.3.30 主日礼拝 「成熟した歩み、始めの一歩」友納靖史牧師【エフェソの信徒への手紙 4章13節】(新共同訳 新約P.356)
- 音声メッセージ
礼拝終了後掲載いたします。通信料が心配な方はこちらからご視聴ください。- 礼拝プログラム
- 前奏
招詞 ホセア書 10章12節 司式者
祈祷 司式者
賛美 新生56番「朝風しずかに吹きて」
献金感謝
聖書 エフェソの信徒への手紙 4章13節
特別賛美
宣教 「成熟した歩み、始めの一歩」 友納靖史牧師
祈祷
賛美 新生550番「ひとたびは死にし身も」
頌栄 新生672番「ものみなたたえよ(B)」
祝祷
後奏 - 宣教概要
- 教会員の投票で選定された新年度の教会年間聖句が今日の箇所です。「あなたの御言葉は、わたしの道の光り、わたしの歩みを照らす灯(詩119:105)」とある通り、教会もキリスト者も神の御言葉に導かれて年毎の歩みを進めることを大事にします。なぜなら私たちの人生は陽の光の中で歩む日々ばかりでなく、漆黒の闇広がる夜、太陽の見えない雨雲に厚く覆われ氷雨に打たれるような日さえも経験するからです。そのような希望の光を自らの力では見いだせない日、神の御言葉の光によって魂が照らされ、恐れず一歩を踏み出す力が注がれます。
『ローズンゲン』という日毎に読む聖句の詰まった年間誌があります。250年程前、ドイツの敬虔主義プロテスタント・ヘルンフート兄弟団という共同体が作成し、静かに世界中へと広まり、日本でもベテスダ奉仕女の家出版から発刊さています。旧新約聖書より短い御言葉を組み合わせた聖句、聖書通読箇所と賛美が記載され、数多くのディボーション誌・一日一生(章)の書籍の中でも世界40カ国以上で堅実な読者を得てきました。賛美「善き力に我かこまれ」の詩を書いたディートリッヒ・ボンヘッファーも愛読者の一人で、第二次世界大戦開始直前に米国留学中、祖国ドイツへ帰るか、安全な地に留まるかを悩む時、ローズンゲンによって光を注がれる経験をしました。1939年6月26日の箇所は「冬になる前に急いで来てほしい(テモテ二4:21)」で、彼は日記に「この言葉が一日中、私の頭にこびりついて離れなかった。それは、戦場から休暇で帰って来た兵士が、自分が持っていたすべてのものをふり棄てて、また戦場に引き戻される時のようなものだった…」と。こうして彼は再びドイツへ帰国し、ナチ政権を覆す抵抗運動に加わる道を選び殉教したのです<「宮田光雄ボンヘッファーを読む」岩波書店>。今も私たちに働かれる聖霊なる神が、その日この時に必要とされる御言葉を注ぎ助けてくださいます。
今回教会の祈りの中で選ばれたエフェソ書は正に新年度、新たな歩み、特にこれまでの各会や地区のグループ分けから、新たなコイノニア(神と人と共にある信仰の霊的交わり)を形成する着地点を示す御言葉です。13節の「成熟(ギ語:テレイオス)」とは“十分に成長した・完全な:full grown/adult”を意味します。ここで「完全な者になる」とは、なんでもすべて(all)を持ち合わせた人になることでなく、神がその人に与えたすべて(whole)になること、完全と表現するより『完成』の方が正確な表現です。使徒パウロがエフェソ教会へこの手紙で伝えたかった中心的な事は、神が計画されているこの世界の完成した姿とは、様々な違いを越え(ユダヤ人と異邦人の対立・キリストを信じる者とそうでない者)を超えて一つとなることでした。「実に、キリストはわたしたちの平和です。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し…、こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、 十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました(エフ2:14-21)」。この神のビジョンこそが教会での交わり(コイノニア)の中で実現する真理であり、御言葉に導かれて歩む時、様々な課題を忍耐強く愛をもってキリスト者が乗り越え「成熟(完成)したキリスト者」となることを宣言したのが今日の箇所です。しかし今は未熟で、成熟に向かう成長段階にある弱い私たちに彼は呼びかけます。「だから…神の聖霊を悲しませてはいけません。あなたがたは、聖霊により、贖いの日に対して保証されているのです…(4:25-32)」と。
日々「新しい人」とされて歩めるように、様々な方法で御言葉に触れる機会を与えておられます。最初は幼子のような未熟な者かもしれません。ですが成熟した者(「霊的成人」:コリ一:13:11)へと私たちが造り変えられる神のご計画を信じて、初めの一歩を踏み出す時、日々御言葉の光に照らされます。その恵みの経験を新たな交わりの中で喜び分かち合う歩みを踏み出して参りましょう。
初めの一歩…。