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礼拝
斎藤信一郎牧師

8.9主歴2020 マタイによる福音書5章38~39節「平和を実現する道-主イエスの選択」斎藤信一郎牧師

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プログラム
前奏
招詞            司式者
祈祷            司式者
賛美  教団531番 こころの緒琴に 1、2節 
聖書  マタイによる福音書5章38~39節            Matthew5:38‐39
特別賛美演奏  平和の祈り    奏楽者
宣教  「平和を実現する道-主イエスの選択』」 
       牧師 斎藤信一郎
祈祷
賛美  327番 ゆく手をまもる永久の君よ 2、3節
献金感謝           司式者
祝祷
後奏
宣教要旨
   マタイによる福音書5章38-39節
      (新共同訳聖書8p)
「あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。」

常盤台教会は父の出身教会であると同時に、私自身も歴代の牧師夫妻と教会員に大変お世話になって参りました。また、学生時代を長崎で過ごした者として、75年前に長崎に原爆が投下されたことを覚える日に、礼拝宣教者として立てられたことを感謝します。
5年前に西川口教会の牧師となり、3年前の受難日礼拝時に脳内出血を起こし、緊急入院しました。半年の療養期間を経て牧師職に復帰しましたが、後遺症と向き合い、職務を教会員に補っていただいての復帰でした。試行錯誤の日々の中、一端退いて療養する必要を自覚し、本年3月教会を辞任、同戸田市内に引っ越しました。折しも世界規模のコロナ禍の影響で全てが一変し、だれもが様々な不安や多くの課題を抱えての生活を余儀なくされています。み言葉に明日への希望と力をいただきつつ、共にキリストにある平和の中に導かれたいと思います。
本日の聖書箇所の直前で「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる。」(5:9)と主イエスは語ります。平和を希求すると共に、平和を脅かす事柄と向き合う人々こそ神の子だと強調しています。
「目には目を、歯には歯を」(5:38)は、一般の人にも良く知られていますが、今から約四千年前に中東で誕生した古代バビロニア帝国が制定した「同体復讐法」にその起源があります。無制限に復讐が繰り広げられていた古代において、法的に制限を加えた画期的な法律でした。旧約聖書では、被害者の復讐の権利ではなく、加害者の賠償責任を明確にした内容になりました。これを前提に主イエスは新たな選択肢を示します。
今回の聖書箇所で注意が必要なのが、左の頬ではなく、「右の頬」(5:39)を打たれるという特殊な状況です。右手の甲を使い、相手の右の頬を叩くことを指します。これは当時、相手に侮辱を加える時の動作でした。すると、今回の場面では叩いた側が元々は被害者で、復讐目的で右の手の甲で叩いた可能性が出てきます。
相手が叩いてきた事情に関わらず、主イエスが問題にしているのは、和解が困難な相手とどのように向き合うかということです。主イエスが語る「左の頬をも向けなさい。」(5:39)とは、自分の権利や利害関係を脇に置き、まず相手の思いを徹底して受け止めるという選択でした。弟子のペトロに対して主イエスが「七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。」(18:21-22)と教えた時も、その後に主イエスが十字架を背負って人類の罪とその苦しみをご自分の身に引き受けた時も、共通の覚悟が見て取れます。視点を変え、身を挺して相手の救いを優先する主イエスの姿こそ、現在のパンデミックの中で世界の人々を繋ぎ合わせ、新しい希望を創り出す鍵だと示されます。
全世界の人々が、過去の戦争や様々な利害関係を乗り越え、犠牲と痛みを覚悟で助け合う必要がある今だからこそ、心に留めて置きたいみ言葉です。