「あなたがうれしい」山下真実牧師(2018/12/16)

 クリスマスがイエス・キリストの誕生をお祝いする日であるということは、今や全世界で知られていることです。世界中で祝われるクリスマスですが、この日を楽しみにしている人と、そうでない人がいるかもしれません。今から約2000年前、クリスマスのはじまりとなった「救い主」のおとずれも、ユダヤの人々をはじめとする沢山の人々が、長い間待ち望んでいた出来事…のはずでした。
 実際には、イエス・キリストは歓迎されるどころか、安心して生まれる場所すらなく、薄暗い家畜小屋の飼い葉桶にお生まれになりました。更に、東方の学者たちによって「ユダヤ人の王」だと告げられたその幼子は、ヘロデ王とその地方の人々に、救いどころか「不安」をもたらしました(マタイ2:1-3)。そして、その不安が理由となり、「その周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させ」るという、ヘロデ王による残虐非道な事件も起こりました(同16-18節)。長い間待ち望まれていたはずが、決して歓迎されず、安心して生まれてくる場所も無く、両親をはじめとした多くの人々に戸惑いをもたらし、「お前さえ生まれてこなければ」とさえ言われてしまうような存在がやって来た…これが「救い主」イエス誕生のリアルでした。
 そんな中、「救い主」誕生の知らせを喜んだ、数少ない人々の代表が羊飼いたちでした。人里離れて、人々の気にも留められずに生活をしていた彼らの姿は、「居場所」の無い「救い主」の姿に重なります。彼らのもとに天使たち
は現れ、そんな「あなたがたのために 救い主がお生まれになった」(11節)と知らせたのです。彼らは急いで行って、「この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせ」(17節)ました。彼らは、人々に歓迎されなかったこの幼子の命が、「民全体の大きな喜び」である(10節)という知らせを届けました。そのことは、イエス・キリストとその両親にとって、大きな励ましとなったことでしょう。
 「私は生きていてよいのだろうか」「生まれてきてよかったのだろうか」そのように感じるときに、目の前の存在が私の命を支えてくれる――クリスマスの出来事は、言葉にできない孤独のただ中にさえも、私と一緒にいてくれるかけがえのない存在があるということ、支えてくれる小さな命があるということ、その希望の光に目を向けさせてくれる出来事です。神さまが羊飼いたちの存在に目を留めたように、また羊飼いたちが「救い主」の小さな命を喜んだように、私にも私の命を喜んでくれる存在が必要です。このクリスマス、「あなたがうれしい」と言葉を掛けてくれる存在が確かにいることに、私も気づくことができますように。そして、その存在に対して、私も「あなたがうれしい」と伝えることができますように。

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