「イエスの語る旧約の福音(28)『 ”愛”が呼び覚まされる時』友納靖史牧師(2019/11/17)

[聖書]雅歌2章1~7節、ルカによる福音書7章36~50節
 「雅歌」の直訳は「歌の中の歌」であり、「格言を三千、歌は千五百首を読んだ(列王上5:12)」とされるソロモン王の若い時代、彼の率直な異性への想いが記されたものです。しかし単なる男女間の愛を越え、神が人間に与えられた新約における「アガペー(無条件で一方的に注がれる愛)」と結びつく真理が秘められています。ヘブライ語「愛」と訳される言葉は主に二つあり、神の愛を示す旧約の代表「ヘセド(契約の愛:双方が契約を交わし守る責任を伴う愛)」ではなく、「アーハヴ(アガペーと同じ、無条件の愛)」(名詞が)がこの雅歌には旧約中で最も多く使用されています。文語訳「愛のおのづから起るときまでは 殊更に喚起し且つ醒すなかれ(2:7)」とあるように、真の愛とは、愛が自ら目覚めたいと決断する時まで、決して無理に揺り動かして起こしてはなりません。それは恋愛、夫婦や親子関係、更には信仰に基づく愛の全てにおいて、強制的力によらず生じる大切さがこの雅歌で繰り返し呼びかけられます(3:5,8:4)。
 主イエスの前にある日、招かれざる客として現れた「一人の罪深い女」。彼女がどのような罪を犯したのかルカは語りません。しかし、彼女の犯した罪を知っているファリサイ派の一人、シモンの家に勇気を出して訪れ、イエスに分からないように後ろから近寄ります。そして、主の足を涙で拭いつつ持参した香油を塗ったのです。それも(恋)愛の証しである接吻を主の足にしながら。それを見たシモンと他のファリサイ派の人々は憤ります。「この人がもし預言者なら、自分に触れている女がだれで、どんな人が分かるはずだ。罪深い女なのに」と。しかし主は「…言っておく。この人が多くの罪を赦されたことは、わたしに示した愛の大きさで分かる。赦されることの少ない者は、愛することも少ない(7:47)」と語られました。この女性が以前、姦淫の現場で石打になる直前に主イエスと出会った別の女性(ヨハネ8:1-11)のように、罪を赦された経験があったからなのか。それとも、イエスさまの語った神の慰めと希望の言葉に救われたからなのか、ルカは詳しく触れません。ですが間違いなくこの人が、主への愛と感謝を、自ら表すためにこの場へと勇気と信仰を奮い立たせて訪ね、愛(アーハヴ)を示したことを主は喜ばれました。正に「愛のおのずから起きる」姿をこの人に見るのです。主は語られます。「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい(7:49)」。きっとこの人は自らの罪が赦されたことを感じながらも、不安を覚えていたことでしょう。ですが、主イエスより愛の眼差しと赦しの宣言・御言葉を注がれて、その後、彼女の内から喜びと愛が溢れる人生を歩んだに違いありません。
 私たちも十字架と復活の主イエスと出会うとき、「愛の呼び覚まされる」人生を聖霊の導きにより備えられることを信じます。

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